謙虚さは進歩の力
本日、個人指導が終わった後のこと。
背後にいる私の方へ、生徒さんがお身体の向きをスッと変え、床に三つ指をつき背筋を伸ばして深くお辞儀をされました。
私も、同じように三つ指をついて深く礼をし、互いに「ありがとうございました」と心を交わしました。
私の考えは少々古いかもしれません。
ヨーガは、魂の武道であり、礼に始まり礼に終わるものと思っています。
しかし、欧米経由で広がった現代のヨーガに、このようなスタイルは堅苦しく時代遅れに映ります。
ですから、教室ではいたしませんが、自分が教えていただいていた頃は、先生にはこのように挨拶をしていたものです。
深いお辞儀から顔を上げられた生徒さんの開口一言、「このままずっと座っていたかったです」!
「座るってこういうことなのですね」というお気持ちが、レッスン後の整った心身から発するキラキラした瞳に溢れていました。
探していた宝物を見つけたような大きな喜びが伝わってきて、私の顔に笑みが浮かびました。
正しく身体を使う意識から生じる落ち着いた心。
それは、ありのままの心。
本来、心は魂の道具です。
心が魂を表現する道具になれば、こちらの生徒さんのように、ただ座っているだけで気持ちが良いのです。
身を整え、呼吸を丁寧に扱い、正しく美しく座る。
心をこめて礼をして、謙虚にヨーガを習う。
終わったあとも、心をこめて礼をする。
このように丁寧にヨーガを行い家路をたどれば、雑念やイライラ、ザワザワした感覚や疲労感など居座る場がなくなってしまいます。
習い事は、何をするか、どれだけするか、ではありません。
習う人の心のあり方が結果につながるものです。
謙虚に習う心の姿勢を、自分の中でどれだけ維持できるか。
それが進歩を促すのです。
「初心忘るべからず」
これは、習い事における格言、真理です。