お茶をどうぞの一言に込める仕事

アマゾンプライムで小林聡美さんの出ている作品を楽しんでいます。

「パンとスープとネコ日和り」が好きで、今日もう一度はじめから見ていました。

小林聡美さんの出ている映画は、日常のなんてことない場面を一枚の絵画のように魅せてくれるので、ていねいに生きたくなる気分にさせてくれます。



焼いたお魚の切り身を丁寧に盛り付けて、テーブルで静かにひとり晩酌のシーン。
卵を焼く時のジュワ〜っという音。
猫がただす〜っと通るだけのシュールな場面。


本当になんてことないシーンに見入ってしまう不思議なリズムの作品です。

今日見た中に、岸恵子さんが昔の自分を回想して、「時代も自分も変わってきた」とセリフを言うシーンがありました。

今、世界中でいろいろな人がこのセリフと同じ体験をしているのだろうと思います。

私もそのひとりです。










先日、久しぶりに地下の教室にお客様が訪ねてきてくれました。

個人指導の方です。

しばらく休業していたので私も久しぶりに自分を使う日でした。

きっかけは社会の変化であれ、私たち自身の内にすでに変わる時期がきているのです。

価値観が変わっていく時は、肉体的にも感情的にもエネルギー的にも、精神的にもトータルで、統一して変えていく技術を駆使しなければなりません。

人が変わる時は、自分を構成している要素がすべて同じラインに整った時に、「変容」と「成長」として成就されます。

私は、このラインを統一する手技を提供しているのですが、先日はとても素敵な体験をさせていただきました。




例えば、肩こりがあると一般的にはその痛みがある部分だけを考えます。

でも、人間は複数の部分がつながって一つになった存在なので、全体を視野に入れて肩こりを視る必要があるのです。

この考え方と同じように、心を開放的にするために胸を開くという考えがありますが、いきなり胸は開けません。

胸を開いても良い環境を先に築いて安全な状況を心身ともに準備してからです。

「開く」という言葉はとても魅力的ですが、それは一側面的なものの見方で、あまりうまくいきません。

開くことに伴うマイナスの面も考えて開くことが理にかなった方法です。



様々なプロセスを経て、胸を意識して呼吸をしていただきました。

その後、私は少し離れて沈黙の間をとるのですが、ふと気になり「大丈夫ですか?」とお声をかけたら、「先生・・・身体が勝手にプルプルします」と、涙声が返ってきました。

ウルトラマンが地球にいるタイムリミットが近づいた時に、胸のライトが点滅するように胸がリズムを打っているのが肉眼でもハッキリ見えました。

言葉のない会話で二人で顔を見合わせてしまいました。

涙を流されていましたが、自分の中から湧いてくる生命力に歓喜されての涙だと思います。

人間は、自分の身体を通して生命力に一瞬でも触れることから劇的に変わっていきます。

それほど生命力は強力です。

肯定的な気づきがじわじわと静かに押し寄せてきてるのではないかと思います。



そうしてセッションを終えた後、一杯のお茶をお出しして、やわらかい灯りだけをつけて私は部屋からそっと退出します。

「どうぞ」とお茶を差し出すこの仕上がりの瞬間が一番好きです。

そしてまた部屋に戻るときは、必ずロージーが一緒についてきて場を和ませる役を果たしてくれます。



ヨガマットに巻かれるの大好き



今より若い時は、ヨーガで人を変えよう幸せになってもらおう、なんてエネルギッシュに活動していましたが、今はそんなステキな欲もなくなりました。

いろいろなことを身につけようと頑張り、あれこれ投資してきましたが、自分形成の時代を一通り終えてた今、自分に良い意味で満足しています。

休業していた私の始動もあと少し。

第二の人生の始まりです。



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