赤ちゃんのリズム

電車に乗っていた。

隣の空いた席に、私よりお若いであろう女性が座りました。

赤ちゃんをおんぶしていました。

お母さんは、座るとスマホを取り出しました。

私は、

「赤ちゃんに心を送ってあげないの?」

「ま、ほんの少しの自分の時間だもんね」

「じゃあ、代わりに私が遊んでてあげる!」

心の中でひとりごと。



隣の赤ちゃんに、気持ちを送りました。

…!

赤ちゃんは、何かに反応したみたい。


おんぶで固定されたカラダ以外の手足を、バタバタさせました。

私は、その「バタバタ」を言葉の代わりに聴きました。

私は、また気持ちを送りました。



そうしたら今度は、私の脚に触れてる柔らかい小さな足を、トントン動かしました。


トーントーントーントーン

ウフ、なんて心地よいんだろう。


トーントーントーントーン

ウフフ


一駅の間、ずっとリズムをとっていました。


次の駅に着くと、お母さんはスマホからバッと顔を上げ、サッとドアに向かいました。

赤ちゃんのトーントーンも、私の脚から、サッと離れました。


人で溢れるホームに、お母さんと赤ちゃんが見えました。

人に埋もれて見えなくなるまで、私の視界に入れていました。


言葉を使わないコミュニケーション。


「元気に育つんだよ」

大人のバタバタ、ザワザワ、イライラの中に消えて行った柔らかいオーラの赤ちゃん。


私を乗せた電車がホームを滑り出した時、なんだか涙が滲みました。


赤ちゃんのトーントーンが、あんまりにあったかいから。

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