無意識から意識した生き方へ~真のヨーガ入門





インドで暮らしていた時のこと、あるヨーガの師がおっしゃった言葉です。


「幸せになりたかったら、ヨーガをしなさい」

シンプルですが、なぜか後を引く言葉です。

師の仰った「幸せ」と、「ヨーガ」の意味を解説させて頂きます。



まず、ここで言われているヨーガとは、人工的なヨーガを指しているのではなく、源泉のヨーガをしなさいという意味で言われています。


人工的なヨーガでは、ヨーガの成果には成りえませんよという意味が込められています。




師はそのまま言葉を続けられました。


人間は、サムスカーラという潜在的な心の印象に、目の前の対象物への反応や言動を支配されているため、自動的に反応してしまう。


このサムスカーラを浄化していくこと、自動的に反応する生き方から意識的な生き方へ進化していくことをヨーガは説いていると。


言及しておきますが、意識的な生き方になることがヨーガのゴールではなく、そこは通過点です。


意識的に生きれるようになってこそ、習慣的な生き方から解放されるのではないでしょうか?



とはいえ、潜在意識という介入できない次元を浄化していくなど、言葉ほどに容易くないことは、ヨーガを実践されていくと次第に見えてきます。


無理難題に取り組むことは、苦行にもなりかねません。


潜在意識を覗くことより先に大切なことは、日常的な思考パターンや心の習慣に自分自身で気づくことです。


それにはやはり、自分を意識できるようになることは欠かせません。


では、なぜこの取り組みが必要なのでしょうか?


不安癖や懐疑的な心の癖、怒り癖、想像が行き過ぎて妄想に陥る癖など、心の癖には人の数ほどに様々なパターンがあります。


自分の心にどのような癖や思考のパターンがあるのか、自分自身で気づくことができれば、自分を変えたい人にとっては、改善の道をたどる可能性が開けてくるからです。


実は、ヨーガの実習がまさにその助けになるのです。



そのはずなのですが、現代のヨーガはポーズに取り組みすぎる傾向がある為、自己観察の訓練の場になり得ないのです。


ヨーガを始めたばかりの頃は、リラックスを楽しんだり、ポーズで身体を動かしたことによる爽快感や気持ち良さを楽しんで下さってよいのです。


ですが、そうした五官がもたらす体験は初回の2~3回にとどめ、実習の空感に慣れてきたら、ヨーガ本来の実習に取り組み始めることを念頭におかれて下さい。


ヨーガのアーサナは、肉体を整えるものとして知られていますが、そればかりでなく様々な訓練法としても活用できます。


先に申し上げた、自己観察の訓練法です。


無意識な生き方から意識化へとうながしていきます。


無意識な呼吸、
無意識な姿勢、
無意識な言動、
無意識な思考、
無意識な生き方。


毎日が無意識な生き方から、意識的な生き方へとうながしていくことは、進化の道のはじめの一歩です。


現代は、スピリチュアルな情報が氾濫しているため、チャクラやエネルギーといった難題から先に取り組もうとする傾向があります。


まず、心を無防備なままにせず育てましょう。


ですから、ヨーガの八肢則には、先にヤマとニヤマがあるのです。


ヨーガの手順は、ヨーガの真髄に入る前に、生き方を通して心を浄化するように体系化されています。


分をわきまえ、基礎的なことから段階的に進むことが、やがては精神的にも肉体的にも健康的な進化の歩み方になります。


心が未熟なまま高度な実践に取り組んでも、お粗末な実践しか為せないのです。


ピアノの基礎的な練習を積んでいない指先で、鍛錬されたピアニストが弾く曲に挑戦しても、上手く弾けないのと同じことです。


繊細な意識に成長させるには、心の浄化は欠かせないのです。


そのために、まずは自分の心が持っている癖や思考パターンを見抜いて下さい。


自分を自分で知る。


意識することができるように、練習します。


実際のヨーガの実習に入る前に、どのように意識化の訓練をしていくのか、基礎的な実践法を習得できるヨーガ入門コースを設定しています。






さて、解説を忘れていましたね、師の言われた「幸せ」とは…?


それは、ご自身で知る特権をぜひ活かして下さい。


霊性の深化の程度により、幸せの定義は変わっていくからです。


物質的意識が優位であれば、物質的な幸せに価値を見出すでしょう。


霊的な意識が優位であれば、霊性の幸せに価値を見出すでしょう。


ですから、師も幸せの定義は語られませんでした。


幸せの青い鳥は、自分で見つけなさいということでしょうか?

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