コーヒー、アップルパイ、湖
今年も来ました。
十和田プリンスホテル。
一年ぶりだけど、まるで絵本の中に返るよう。
いつ訪れても、変わらない。
肩ひじ張らない素朴な落ち着きが、
私を素直にさせてくれる。
パノラマの窓から湖を眺めながらお茶するこの時間が好き。
これだけのために、私は毎年ここを訪れる。
このお茶の時間は、決して東京じゃ味わえない。
先のことを考えないお茶の時間。
私は着席すると先ず、ここの地下40mから汲み上げられたお水を一息に飲みほす。
お水が私の喉元を過ぎ、体に染み渡った時、大きな安堵感に包まれる。
そして、ここに来れたことをしみじみ味わい、喜びをかみしめることを堪能する。
私はすかさず二杯目のお水のおかわりをお願いする。
ここのお水は不思議。
どれだけ飲んでも、お腹が張らない。
お水はそんなに飲めないって確かにいうけれど、まったくそんなことはない。
可笑しいくらい飲めてしまう。
スポンジに水が吸収されるように、私の一部になってしまう。
お水を飲むというより、お水を染み渡らせるという感じ。
お水の次は、コーヒーを香り、ゆっくりミルクを注ぐ。
トラディショナルなアップルパイ。
そして、パノラマの湖。
このローテーションが私の口の中でダンスする。
私?何も考えない、することは、このローテーションだけ。
一年に一度のお茶の時間。