本当に知っておくべき大切なこととは?





ヨーガの成長過程においては、成長と変化にまつわる難題や壁というステップがあります。

初心者特有の最初の壁である眠気、集中できない、怠惰、続かない、飽きる、わかったつもりになるなど、各段階において乗り越えなければならない壁があります。

それを克服する時に必要なものは、正しい智慧と、解ったつもりから正しい理解へ軌道修正してくれる存在なのです。



ヨーガを実践していくと、これまでに経験したことのない、またどうしてよいかわからない感情や思考に直面しなければなりません。

疑問が浮かんでもそれに答えてくれる人がいなければ、わからないままになってしまうか、想像で理解しておくしかないでしょう。

この疑問や感情を正しく理解することができないと、成長していくことを途中で放り出してしまう可能性が出てきます。

私はこのままでいい。
もとのままで変わらなくていい。
私は自分のことより〜が大事。

あるいは、なぜヨーガをやるのか疑問を持ち始めたり、心がぶれて考えがあちこちに飛んでしまったり、自分の短所を抑えきれなくなったり、心が向上するはずがエゴが強く表れたりします。

これは特別な事ではないのです。

成長と変化の過程においては必ずあることです。





自分の心と向き合うということには、常に難題がつきまといます。

心がどういうものかを知っている人は、心の世界の道を何年も根気強く歩み、人間の複雑な心を理解し、解放する努力を自ら続けてきた人です。


ヨーガ(瞑想、あるいは自己をさとる)の道は長い旅のようなものです。


ヨーガの教えを自分に取り入れていくと、単なる「変わりたい」という感情だけでは太刀打ちできないことにやがて気づくことになります。

勝手な想像がはたらいて、自分は変わったと思うかもしれません。

すぐに解ったつもりになってしまうかもしれませんが、実はそう思うことこそが、その道はあなたにとってまだ始まっていないのですよという意味です。

だからこそ、有頂天にならないように導いてくれる人とヨーガの知識の勉強が常に欠かせないのです。



指導者はあなたが進むべき道へと導き、困難があることを先に知らせてくれます。

暴走している時には、取り組み方を調整してくれます。

また、生徒の心を映す鏡の役も果たしてくれます。

エゴの表出や苦痛には限界があること、しかしそれは必要な痛みの経験であることに気づくためのサポートをしてくれるのです。



痛みの経験は、一人でできることではありません。

自分の背中を見ることができないように、自分の誤認や心の癖を見つけることはできないものです。

エゴを指摘されることは、誰にとっても気分が良いものではありません。

それでも、自分のエゴの働きに気づき、消極的にする対処をしないかぎり、人間には真の成長も心の安らぎも訪れることはないのです。



あなたが本気でヨーガを行っていく時は、ヨーガの理論を同時に勉強していかなければ、練習の意味や指導者の言っていることが解らず、やがて飽きます。

神聖な書物を勉強することは、心を豊かにし、気づきを与えてくれ、さらに高度なヨーガに向かう内面の力をつけてくれます。

しかし、聖典は現代人にとっては不明慮なものが多く、難解な内容や、逆説の表現や裏の解釈があったりと、一見矛盾した部分を含むものが多くあります。

その謎を解くには、あなたが理解できる言葉に変えて解説してくれる存在が必要です。

ヨーガについて簡潔かつ丁寧に書かれた本であっても、経験を積んだ先人の洞察力なしに、一人で理解にたどり着くことはむずかしいでしょう。


偉大なヨーガの師の中には、一人でゴールに到達した方々がいますが、これはとても稀なことです。

物質的世界で生きる私たちが、そのレベルまで到達できるなどと考えるべきではありません。

真の指導者は、心の中にいて心の中から導いてもらうことが最も優れた方法ですが、そうするには真摯にヨーガに専念することが必要不可欠になります。

我慢と忍耐力を試されます。



真のヨーガとその指導者をあなたが心から必要とするならば、それは実現し、ときには予想もつかなかった方法で現れてくれることもあるでしょう。

困難なのは、真のヨーガやその指導者を見つけることではないのです。

むしろ学ぶ側の心の態度です。




古代のヨーガの弟子たちは、かなりの謙虚さと忍耐力をもって師からヨーガを習いました。

ところが現代では、性急に結果を求める傾向にあり、素早い変化と、すぐに浄化や瞑想ができる魔法を求めがちです。

しかし、成長の過程というのはどんなことでも時間がかかります。

生きるためには、人生に対する相当な忍耐が必要であることを、誤魔化さずきちんと教えてくれる存在が必要です。

自然界は、このことを人間に限りなく教え続けています。




ヨーガの指導者の役割は、指導し、励まし、サポートすることです。

しかし、指導者があなたの代わりにヨーガをすることはできません。

心を向上させ、自分を見つめ、自分に向き合い、真の自分を知っていけるようになるには、あなたが自分の力で達成するしか方法はないのです。

魔法はありません。



ヨーガが氾濫する現代において、私たちがすべきことは、入会金を支払うことでも海外へ行って資格を取ることでもありません。

魂を導く真のヨーガと指導者を真剣に探し出すことです。


ヨーガはそこから始まっていきます。





あらゆる場所に水を求めて、
井戸や浅い穴をいくつも掘ってはいけません。
一箇所に深い穴を掘りなさい。

一つの井戸からたっぷりと水をお飲みなさい。

複数の人の意見や、
複数の道に従うと、
混乱してゆれ動きます。
一つの意志は一つのことをあなたに命じます。
別の意志はまた別のことをあなたに命じるものです。

すべてに耳を傾け、一つの道を歩みなさい。


すべてを敬い、一つを愛しなさい。

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