あなたにもある内なる声の導き






私が今生でヨーガと出会ったきっかけは母の癌でした。

当時の私は、14年間続けたフリーランスの仕事を辞め、フランスにいました。きっとここで誰かと出会い、結婚して暮らしていくのだろうと予感していました。

本当にそうなる矢先、母の緊急手術を機に日本に戻らざるをえなくなりました。




手遅れ状態で癌が発見された母でしたが、術後ヨーガとともに見事に復活した姿を見せてくれました。

今ももちろん健在です。



フリーランスの仕事を辞める辺りから、私にはある考えがありました。それは、

「体だけではなく、魂から心身ともに再生していける方法はないだろうか」。


そんな中で出会ったのが、ヨーガの思想でした。

ヨーガを手にした時の衝撃は、今でも忘れられません。自分のセンターに落雷が落ちたかのようでした。

それから私の人生に、ヨーガが隙間なく入ってきたのです。




ヨーガを伝え教える人になりたいと思いました。ですが、心というものは自分を肯定的には捉えてくれないものです。

本当の想いと頭の考えが一致せず、何度も葛藤がありました。

そして、私が実際にその想いを実現するまでには様々な人生を歩まなければならなかったのです。




私は、派遣制度を利用して働きながらヨーガを実践していました。

ヨガスタジオに通うお金はありません。

ですから、現在の皆さんの様に簡単にTTCに入って資格を取得していける道ではなかったのです。




当時私が働いていた頃は、派遣制度に対して人々の認識は今ほどになく、その難しさもひとりで抱えていくしかありませんでした。

日々パソコンで仕事を検索する自分にウンザリしていました。自分のやりたいことや好きな仕事内容で選ぶことなど到底できません。

自分の狭い適性と先方の条件で選ぶ仕事には、何の面白みも感じません。働くことも夢が現実になっていかないことにも、嫌気がさしていました。




「いったいいつまでこんな生活を続けるんだろう?」

検索に集中しすぎて頭が疲れ果て、思考力も限界に達し吐息とともに体の力を一気に抜いたその時でした。

ある気づきが私の内側に「ハッ‼︎」と起きました。

の気づきの威厳さに、私は崩れた姿勢を戻して背筋をのばしたほどです。

その声は、内神様といわれる神様からの様でした。


 「どんな時でもふてくされてはならない。投げやりになってはならない。

今は夢とは何の関係もない生活をしているが、これも夢の途中だ。夢は思い描いた瞬間から実現へ向かってそのエネルギーが放たれ、その光に向かって人は歩んでいくようになっているのだ。

その途中である今こそ熱く生きていかなければならない」

ふと力を抜いた時、私の中から声が聞こえてきたのです。

私はその時に受けたメッセージを、頭の否定的な考えに消されてしまわないように、息を止めながら近くにあった紙に書き留めました。

私はその文字を吹き返した呼吸とともに読み返しました。そして誓いました。

「今はお金も仕事も何もない私だけれど、ヨーガを必ず伝えよう。何もないところからどうやって実現したか、その方法を皆に贈ろう。そして、このメッセージを多くの人に伝えられる私になろう」



ヨーガを伝え歩いた頃、2009年





私たちのまわりには、メッセージや前に進むための指針があふれています。

迷った時はどうしたらよいかその答えはすでに自分の中にある、という言葉を聞いたことがあると思います。

その通りです。ですが、なぜ自分は気づかないのでしょう?なぜ考えても答えが出てこないのでしょうか?

もしかしたら、あなたの体によけいな力が入っていませんか?

或いは、ひとつの考えや思いに囚われすぎていませんか?

まずは、目に入れよう耳に入れようとする前に、あなた自身が力を抜くことが先なのです。

でも、力を抜くってどういうこと?どういう状態が力が入っているということなの?と、いろいろ疑問がわくと思います。

では、ヨーガのポーズを例にそれについて考えていきましょう。



ヨーガのポーズのやり方は、エクササイズやスポーツのように力んで行うものではありません。落ち着いた心と呼吸、集中力が伴うことを法則としています。

体のある一点に力を集め、それが支えとってポーズをとっているのです。

この様なやり方の中に、心と体、呼吸が安定した三位一体のポーズが達成されます。

頑張らなくても、静かにポーズを保持することができるようになります。

ヨーガはエゴの力を抜いていくのです。頑張ってはなりません。

頑張ってポーズを行っている方が非常に多いのですが、全身に力を入れてポーズをとることはやめて下さい。

逆にエゴを強めるからです。



方法は、ある一点に力を集める。その力を客観的に感じた後はポーズを解き、そこから一気に脱力します。

この練習方法を繰り返していくと、体の力を抜くとはこういうことかと、自然にわかるようになります。

「あっ、いま体に無理な力が入ってるな」と自分で気づいて力を抜くことができるようになるのです。体が楽になっていきます。


実は、体が楽になると心もそれに連なってくるということをご存じですか?



人間の体は、力を入れた後に抜くと自ら緩んでいく働きを持っています。

ところが、ずっと力を入れたままだとそれが癖になってしまい、緩むことを忘れてしまうのです。肩コリなどがその一例です。



今日、こうして皆様に私の経験をお伝えすることができたことも、体の力をフっと抜いた瞬間に起きたことです。

あぁしなきゃ、こうしなくては、こうでなくてはだめだ、という強い想いを一気に手放した時でした。

力を抜いてひとつの思考から自分を解放した時に起きたのです。

体の力を抜く、我を張らない、リラックスがいかに大切で大きなことをもたらすか知りました。



ヨーガでは、気づきを得るためには常に心身ともにリラックスしていることを重要視しています。

シャヴァ・アーサナという死んだ人のように全身の力を抜く仰向けのポーズがあります。なぜ死んだ人のようにリラックスするのでしょう?

すでに魂も心も抜けた肉体が、あれこれ何かを思いわずらい考えることなどできるでしょうか?

そのくらい、日常的に抱いている思い悩む思考から解放しましょうということなのです。

ある一点に力を感じる、シャヴァ・アーサナでリラックスをする。このヨーガの練習を、ただ何も考えずに繰り返してみて下さい。


体の力をあなたが自分で抜けるようになると、縛られていた悩みや考えから自分で離れていくことができるようになります。そこにこそ、新たな考えや気づきが入ってくるのです。


それは、どこからでもない、すでに自分自身の内側にそなわっていたものです。

力を抜くということは、あなた自身の中から答えを引き出すための簡単な方法です。

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