真のヨーガ指導者を日本から







かつては、ヨーガの聖地と言われたインドのリシケシ。


昨秋訪れた時は、所狭しとTTCが開催されているヨーガの観光地になっていました。


今から10年以上も前になりますが、パワーヨーガが流行していた頃の西海岸と同じ現象を感じさせられました。


サンタモニカに立地するヨーガウェアのショップ、ルルレモンの店内にあるフリーボードには、貼りきれないほどのTTCの広告で埋め尽くされていました。


そのいずれもが、短期で修得できるTTCの広告でした。



リシケシのヨーガスクールも同じように、短期のTTCが選り取り見取りです。


宗教大国であるインド人の彼らなら、祈りや瞑想に要する集中力は、短期で習得し得ないことは承知のはずです。


物質的意識に心を翻弄されて生きる先進国の現代人に、どうしたら祈り瞑想する心になっていけるか、そのヨーガの科学を伝える適切な役目を果たして下さっていました。


かつてはそうであったはずです。


私は、以前のパートナーがインド人のヨーガインストラクターであったことから、インドに対する憧れや称賛だけでは決して垣間見れない裏面の事情を、冷静に見つめることができました。


いえ、見せられてきたと表現した方が適当かもしれません。


その結果、私をこの様に突き動かしています。



当方にも、短期で指導者になれるかお問合せを時々頂きます。


その度に思うことは、この道に続いて下さるであろうこれからの方々に、こうした安易な理解に至らせてしまったのは、先にこの道を歩んで敷いた者の責任と受け止めています。


短期の講座で実現できる指導者レベルでは、エクササイズまでは通用しても、様々な原因で健康を失っている人々に対面する実際の現場では、到底太刀打ちできず、自信喪失から道を失っている方は少なくありません。


あれほどTTCに、時間と大金を投資されたにもかかわらずです。


このヨーガ事情は、いつ転換するのだろうと、この健康産業の動向を27年間冷静に見つめ続けています。


誰かが先頭に立って藪を切り開き、後に続く方が少し楽に通れるようにして差し上げなければなりません。


だから短期で誰もが学べて、資格も取得できてヨーガ指導者になれるでは、主催者側と受講側双方の自己満足まででしょう。


本当に悩み苦しんでる方々は、気休めの気持ち良さやリラックスなど求めていません。



今ここを通過していける確かなものを必要とされています。



お若い方々には古くさい話になりますが、価値ある深化なものを得ることほど、代償が伴うことを忘れてはなりません。


楽して得たものほど、はかないものです。


短期間のTTCでは、修了試験を目指し、暗記で確かに大変だったと思います。


ですが、同じ大変な思いをなさるなら、ヨーガ指導者になる為に必要な試練に、あなたの財産という時間とエネルギーを注ぐことも選択肢にあるのです。



誰かがその思いをして下されば、やがて道らしい道ができあがり、人が通れば通るほど平坦になっていくでしょう。


あるヨーガの先生の指導者養成講座は、3年を見込んでいらっしゃいますが、長いと感じますか?



忍耐、我慢、礼節、受容、謙虚さ。


これは、真のヨーガの道に必要な精神です。


タンクトップで通れる道ではないのです。


こうした精神も、ヨーガの中では伝えていかれなければなりません。


まだ携えていない場合は、その心を開いていけるように貢献することが必要になるのです。



真のヨーガ指導者になる者には、人生を通して様々な試練を課されます。


あらゆる誘惑に打ち勝っていけるか、誠実さを試されます。


試験で試されるのではなく、人生に試されるのです。


ですから、真のヨーガ指導者にとっては、まさに人生が最高のTTCになります。




インドから帰ってきて、確信しました。


これまでは、西洋やインドから学ぶ一方の日本人でしたが、これからは逆の立場となります。


日本人の気質を、ヨーガの生徒の心構えとして身についた真のヨーガ指導者になって下さい。


そうすれば、生き方そのものがヨーガになっていくことができるでしょう。

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